ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

韓国と日本の商法・会社法を比較
第1回 韓国商法第1条~第5条

弁護士法人BridgeRootsブリッジルーツ
弁護士 大塚 陽介

※本記事は亜州ビジネス2018年8月6日第1909号に掲載されたものです。

 我が国にとって一番の“お隣さん”であり“ライバル”でもある韓国。東アジアでの経済活動を考える上で、韓国企業との取引や韓国進出等の検討は避けて通れない課題と言えるのではないでしょうか。韓国関連のビジネスを考えるに当たって収集しておきたい情報やノウハウ等は数えきれないほどですが、ここでは法律面から韓国を掘り下げてみましょう。
 「それじゃ、どんな法律から見ていこうか?」と悩みますが、ビジネスの世界の基本法といえばやはり「会社法」ではないでしょうか。我が国では商法大改正により新たに「会社法」が成立し、株式会社をはじめとする“会社”の基本法となりましたが、韓国では「商法」がその役割を担っています。そこで、本稿では、韓国商法について、我が国の会社法に相当する第3編にビジネスの基本的なルールを定めた第1~2編も加えて、我が国の法律と比較しながら逐条「怪」説していきます。

韓国商法/第1編 総則/第1章 通則

1条(商事適用法規)

 商事に関して、この法律に規定がないときは商慣習法により、商慣習法がないときは民法の定めるところによる。

日本商法 第1条(趣旨等)

1 商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の定めるところによる。

2 商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法(明治29年法律第89号)の定めるところによる。

(怪説)
◇ 「韓国法は日本法とよく似ている」と言われますが、商法第1条を見てもこのことがよく分かりますね。商事(=ビジネス)にジネス)に関しては、(特別の法律がない限り)まずは商法、次は商慣習(≒一般的なビジネスの慣行関しては、(特別の法律がない限り)まずは商法、次は商慣習(≒一般的なビジネスの慣行)、その次に民法という順番でルールが適用されますよ!という規定です。

韓国商法/第1編 総則/第1章 通則

2条(公法人の商行為)

 公法人による商行為については、他の法令に別段の定めがない場合にはこの法律の定めるところによる。

日本商法 第2条(公法人の商行為)

  公法人が行う商行為については、法令に別段の定めがある場合を除き、この法律の定めるところによる。

(怪説)
◇ 本条も韓国法と日本法とがそっくりです。国や地方公共団体といった「公務員」が勤務する法人(団体)の商行為(≒商業的な取引等)についても、特別の法律がない限り商法が適用されます。

韓国商法/第1編 総則/第1章 通則

3条(一方的商行為)

 当事者のうちの一人の行為が商行為であるときは、その全員にこの法律を適用する。

日本商法 第3条(趣旨等)

1 当事者の一方のために商行為となる行為については、この法律をその双方に適用する。

2 当事者の一方が二人以上ある場合において、その一人のために商行為となる行為については、この法律をその全員に適用する。

(怪説)
◇ 韓国法・日本法とも同様の内容です。取引の当事者のうちの1人にとってだけ商行為(≒商業的な取引)といえる場合でも、両当事者(あるいは、他の残りの当事者)にも商法が適用されることとなります。

韓国商法/第1編 総則/第2章 商人

5条(同前―擬制商人)

1 店舗その他これに類する設備により商人的な方法で営業をする者は、商行為をせずとも商人とみなす。

2 会社については、商行為をせずとも前項と同様とする。

日本商法 第4条(定義)

2 店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者又は鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、これを商人とみなす。

日本会社法 第5条(商行為)

  会社(外国会社を含む。次条第1項、第8条及び第9条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。

(怪説)
◇ 韓国法においては、店舗(みたいな施設)で営業をする者は、商行為(≒商業的な取引/詳しくは韓国商法第46条以下で!)をしていなくても、自動的に「商人」となります。「商人」となった場合には、その行為は基本的にすべて商行為とされることになります(韓国商法第47条)。
◇ 日本法では、会社が事業で行う行為はすべて商行為とされる旨規定されています。韓国法では、①「会社は商行為をしなくても商人とみなされる」(韓国商法第5条第1項)→ ②「商人の行為については基本的に商行為とされる」(韓国商法第47条)という順番で、日本法と概ね同様の結論となります。

※ 本稿は、あくまでも一般的な法解釈の動向のご説明にとどまるものですので、いかなる意味においても、法的見解を表明し、あるいは法的助言や鑑定等のサービスをご提供するものではありません。