ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人Bridge Rootsブリッジルーツ
中国人弁護士 厳 逸文

※本記事は亜州ビジネス2018年6月25日第1880号に掲載されたものです。

【第129回】中国におけるフランチャイズ事業の展開(2)

 前回は、中国におけるフランチャイズに対する法規制を説明しましたが、今回は中国においてFC事業を展開するに際して、進出企業を悩ませる幾つかの実務的問題をQ&A方式で解説します。


Q1) 中国においてFC事業を展開しようとする場合、現地の中国企業と合弁会社(又は日本本社の100%子会社)を設立し展開する方法より、日本本社が中国の現地企業とフランチャイズ契約を締結する方が迅速かつ便利であると聞きましたが、本当でしょうか?

A1) 日本本社が中国現地のコンサルティング会社や貿易会社を通じて、中国企業とフランチャイズ契約を締結することは可能です。当然、現地企業は中国の実情に詳しいため、FC事業の展開が迅速になるという面もあるでしょう。しかし、日本本社が現地企業を頼りにしすぎると、現地の実情を入手できなかったり、加盟店に対する管理に手を抜かれたり、虚偽の情報を報告されて誤った判断を行ってしまうこと等が発生し、事業失敗にまで至るケースも少なくありません。
 また、法規制の面でも、外資企業と内資企業とで特段の違いはないため、内資企業を通じてFC事業を展開する方法が必ずしも有利とは言えません。以前は、「商業フランチャイズ管理弁法」において、「外商投資企業の特別規定」という章がありましたが、2008年1月29日に同弁法が廃止されたことに伴って当該章がなくなり、現在ではフランチャイズを行うにあたって内・外資で特段の違いはありません。さらに、前回紹介した「2店舗、1年」の原則についても、外資企業に対する特別な規制はありません(但し、「外商投資資産指導目録」で禁止類に分類されているものについては、FC事業を展開することもできないことに留意する必要があります)。
 以上より、日本本社が仲介会社を通じて中国企業とフランチャイズ契約を締結するという方法は必ずしも理想的とは言えません。中国でFC事業を本気で展開しようとするのであれば、時間及び費用はかかりますが、中国現地で合弁会社又は日本本社の100%子会社を設立する方法をお勧めします。


Q2) 中国は国土が広いため、FC事業を展開する場合は、各地域に支店を設立した方がよいと聞きましたが、本当でしょうか?

A2) 中国は各地域によって、言語・食べ物の嗜好・文化等がそれぞれ異なり、法規制も若干異なりますので、中国全域でFC事業を展開しようとする場合は、少なくとも北方、南方、内陸地域の実情の違いに配慮する必要があります。この場合、遠方の一拠点から市場調査・現地調査等を行おうとすると、時間及びコストがかかるため、地域に設立した支店を通じて事業展開することが望ましいと言えます。また、各加盟店を管理・監督するためにも、地域に支店を設立することが望ましいです。但し、各省毎に支店を置くことは現実的ではないため、実務上では、「京津冀」地域(北京、天津、河北省の略称)を管理するために北京に支店を、「江浙滬」地域(江蘇省、浙江省、上海の略称)を管理するために上海に支店を、内陸を管理するために武漢又は成都に支店を設立するのが一般的です。
 なお、地域に支店を設立するのではなく、地域毎に提携パートナーを選択し、提携企業とサブフランチャイズ契約を締結するという方法も考えられます。この場合、支店を設立するためのコストは節約できますが、本部の管理が行き届かない可能性があり、また、サブフランチャイザーに頼る面が大きくなった場合は、ノウハウ流失等のリスクが高くなるというデメリットに留意する必要があります。


Q3) 中国でFC事業を展開する場合、商標や営業秘密等知的財産が簡単に盗まれてしまうと聞きましたが、何か対策はありますか?

A3) 商標侵害、ノウハウの流失、フランチャイズ契約終了後の商号の継続使用等、知的財産権に対する侵害は頻繁に発生していますが、残念ながら、権利侵害を完全に予防する方法はないと思われます。しかしながら、少なくとも下記方法を通じて、権利侵害のリスクを減少させておくことが肝要です。
  1.  中国進出前に、必ず中国において商標登録を行うことをお勧めします。商標登録をすることによって、権利を侵害された場合に、侵害行為の差し止め、又は損害賠償を請求することができるようになります。
  2.  各地域の提携企業とサブフランチャイズ契約を締結する場合、契約書に提携企業に管理責任を負わせる条項や違約金条項等罰則を入れることを通じて、提携企業に知的財産権の侵害リスクを分担させておくことをお勧めします。

以 上