ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人Bridge Rootsブリッジルーツ
中国人弁護士 厳 逸文

※本記事は亜州ビジネス2018年4月27日第1842号に掲載されたものです。

【第125回】中国におけるフランチャイズ事業の展開(1)

 近年、中国人消費者の購買力の向上に伴い、中国消費市場の魅力が高まってきました。この商機を狙い、北京、上海等大都会において次々に建設されたショピングモールに出店したいという日本料理店も増えてきました。中国の広大な土地で迅速且つ大規模に事業を展開するために、飲食企業の殆どは、フランチャイズ方式で中国へ進出していますが、中国のフランチャイズ規制にはどのようなものがあるでしょうか?中国でフランチャイズ事業を展開するために、何に注意すべきか等に関し、不安を抱えている企業も少なくありません。そこで、今回及び次回の2回に分けて、中国におけるフランチャイズに対する法規制及び法的留意点を紹介します。
 中国では、フランチャイズを「商業特許経営」と称し、「商業特許経営管理条例」(以下「条例」という)及び「商業特許経営届出管理弁法」(以下「弁法」という)等の関連法令を通して、フランチャイズ経営の企業が管理されています。以下、上記法令において定められているフランチャイズに対する法規制について説明します。

1. 事後届出の義務
 フランチャイザーは、フランチャイズ事業開始前には、政府の許可を取得する必要はありませんが、初回目のフランチャイズ契約締結後15日以内に商務主管部門(基本は現地の工商行政管理局)に、フランチャイズ事業を開始したことに関し届出を行う必要があります(「条例」第8条)。
 上記届出に当たっては、フランチャイズ経営のマニュアルや今後の出店計画等の提出が求められます。契約締結から届出までの期間が短いため、事前に必要書類を準備することをお勧めいたします。上記届出義務に違反した場合、商務主管部門から是正勧告され、1万~5万人民元の罰金を科される可能性があります。更に、是正勧告の期間内に改善しない場合、5万~10万人民元の罰金が科されることに注意しなければなりません。また、「条例」第19条により、上記届出を行った後、毎年、前年度に締結したフランチャイズ契約の状況等を、商務主管部門へ報告することが義務付けられていますので、注意する必要があります。

2.「2店舗・1年」の原則
 前述のように、中国でフランチャイザーになるために、政府の許可を取得する必要はありませんが、誰もがフランチャイズ事業を展開することができるという意味ではありません。フランチャイザーになろうとする企業は、「届出する時点ですでに直営店を2店舗以上有し、その経営期間が1年を超えること」が求められています。もっとも近年の法改正において、「2店舗・1年」に関し、海外での店舗経営実績も含まれることになりましたので、既に日本においてフランチャイズ経営を行っているフランチャイザーであれば、中国で2店舗を1年以上経営する必要がなくなりました。
 但し、ご存知のとおり、中国においては、実務運営が法律の改正より遅れているという事情もあります。したがって、各地域の商務部門の実務運営により、海外の店舗経営実績を認めない可能性もありますので、事前に商務部門の担当者に確認することをお勧めいたします。

3.経営範囲に対する制限
 中国でフランチャイズ事業を展開する際に、①中国現地で子会社を設立し、子会社を通して展開する方法、②中国の現地会社と合弁会社を設立し、合弁会社を通して展開する方法、③中国の現地企業と提携し、中国企業を通して展開する方法が考えられます。上記いずれかの方法においても、中国現地会社の登記簿上の経営範囲に、「特許経営の方式で事業を行うこと」という項目が含まれていなければなりません。経営範囲に上記項目が含まれていない場合は、経営範囲の項目を追加し変更登記をする必要があることにご留意ください。

4.フランチャイズ契約書に対する規制
 「条例」により、フランチャイズ契約書に対しても、下記のような規制が定められています。
 
  1.  フランチャイズ契約書は書面で締結しなければなりません。また、法定記載事項として、フランチャイズ料の種類・金額、その支払方法、経営指導・技術サポート、業務研修等のサービスの具体的内容及び提供方法等の事項を契約書において定めなければなりません(第11条)。
  2.  フランチャイズ契約において、契約締結後一定期間内はフランチャイジーが一方的に契約を解除できる旨を約定する必要があります(第12条)。
  3.  フランチャイズ契約の有効期間は3年以上でなければなりません(第13条)。
 次回は、引き続き中国におけるフランチャイズ事業を展開する際の法的留意点を紹介します。
以 上