ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人BridgeRootsブリッジルーツ
弁護士 姜 成賢


【第115回】子どもたちの食の安全のために!

※本記事は亜州ビジネス2017年11月27日第1740号に掲載されたものです。

Ⅰ.はじめに
 2017年5月30日、韓国では、「子どもの食生活安全管理特別法」(法律第14263号、2016年5月29日一部改正。以下、「本特別法」)が施行された。本特別法は、子どもたちが正しい食生活習慣をもつようにするため、安全で栄養を等しく備えた食品を提供するにあたって必要な事項を規定することにより、子どもたちの健康促進に寄与することを目的としている(本特別法1条)。なお、本特別法にいう「子ども」とは、初・中等教育法2条に規定する初等学校、中学校、高等学校及び特殊学校の学生、又は18歳未満の者をいう(本特別法2条1号、同条3号、児童福祉法3条1号)。
本稿では、子どもの食の安全のために、韓国でどのような法制度が設けられているかを概括する。


Ⅱ.子どもの食品安全保護区域
 まず、市長、郡守又は区庁長(以下、「市長ら」)は、安全で衛生的な食品販売の環境を造成することによって子どもを保護するため、学校及び当該学校の境界線から直線距離200メートルの範囲内の区域を「子どもの食品安全保護区域」として指定及び管理することができる(本特別法5条1項)。そして、市長らは、同区域を指定したときは、同区域を知らせる表示板等を設置し、管理なければばらない(本特別法施行令4条)。
 そして、市長らは、子どもの食品安全保護区域において子どもの嗜好食品を調理又は陳列及び販売する業者のうち、大統領令で定める業者を子どもの嗜好食品調理販売業者として管理しなければならない(本特別法6条1項)。なお、ここにいう「子どもの嗜好食品」とは、たとえば、菓子、キャンディー、アイスクリーム、パン、チョコレート、ハンバーガー、ピザといった、食品衛生法又は特産物衛生管理法に基づく食品のうち、主として子どもたちが選り好んだり、よく食べたりするもので、本特別法施行令別表1に定められたものをいう(本特別法2条2号、本特別法施行令2条)。
 また、市長らは、子どもの食品安全保護区域において保健福祉部長官と協議し、安全で衛生的な施設基準を備え、高カロリーで栄養価の低い食品及びカフェイン含有量の高い食品を販売しない業者を、「子ども嗜好食品優秀販売業者」と指定し、保健福祉部長官と協議し、ロゴ等を表示又は広告に使用することができるようにする(本特別法7条1項)。


Ⅲ.食品販売等の制限
 一方、食品医薬品安全処長は、高カロリーで栄養価の低い食品の栄養成分基準を定めて告示することができ(本特別法8条1項)、学校や子ども嗜好食品優秀販売業者において高カロリーで栄養価の低い食品及びカフェイン含有量の高い食品の販売を制限又は禁止することができる(同条2項柱書)。
 また、食品医薬品安全処長は子どもの嗜好食品のうち、射倖心を助長し又は性的な好奇心を誘発するなど、子どもの健全な情緒を害するおそれがある食品、又はそのような図案や文面が入っている食品に対し、販売や販売目的の製造、加工、輸入、調理、保存、運搬及び陳列を禁止することができる(本特別法9条1項柱書)。
 さらに、子どもの嗜好食品のうち、高カロリーで栄養価の低い食品及びカフェイン含有量の高い食品を製造、加工、輸入、流通、販売する者は、放送、ラジオ及びインターネットを利用して食品ではない玩具その他子どもの購買をそそのかすことができる物を無料で提供するという内容を含んだ広告をしてはならない。


Ⅳ.まとめ
 この他にも、本特別法では、栄養成分の表示させる方法や学校給食における規定等を設けることによって、子どもたちの食の安全を図っている。
 韓国に進出している食品業界の日本企業も多く存在すると思われるので、このような規制を把握することで、より活発な韓国における事業展開を期待したい。
以 上