ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人Bridge Rootsブリッジルーツ
中国人弁護士 厳 逸文

※本記事は亜州ビジネス2017年2月6日第1541号に掲載されたものです。

【第94回】中国の新しい外国人就労許可制度

1 許可証の整合
 従来、外国人労働者は中国で就労する際に、高度人材としての外国専門家向けの「外国専門家来華就労許可証」(申請窓口:外国専門家局)、又は、一般外国人労働者向けの「外国人就業許可証」(申請窓口:人力資源・社会保障部門)のいずれかを取得する必要がある。今回の改正により、この二つの許可証は、「外国人来華就労許可」に整合され、申請窓口も統一された。この二つ許可証の整合により、外国人労働者に対する審査・許可プロセスの一本化管理が図られる。

2 ポイント制の導入
 日本の高度人材制度と同様に、今回の改正により、中国もポイント制を導入した。方案により、就労者の年収、関連業務の経験年数、勤務期間、中国語能力、年齢、学歴等を評価基準とする採点基準表及び各対象人材に対する詳細な評価基準が公布された。同基準表に基づく点数により、外国人労働者は、次のように、A、B、C三種類に分けられた。

分類

採用方針

対象人材

A

高度人材

積極採用

85点以上

中国における人材導入計画に選出される人材、国際的に認められた専門認定標準に合致する人材、市場ニーズを満たす人材、イノベーション能力がある人材、創業したい人材、優秀な青年人材等

B

専門人材

コントロール

60点以上

外国人来華工作指導目録及び職務の要求に合致する人材、中国の経済及び社会発展に不可欠な外国人専門人材、専門管理者、及び専門技術者等

C

その他の外国人就労者

厳しく制限

点数制限なし

非技術的業務、サービス業又は臨時性、季節性がある業務に従事する中国労働市場のニーズを満たす人材


 A類の就労者は、審査期間の短縮、手続の簡素化等優遇を受けることができる一方、C類の就労者にとっては、就労許可の申請が困難になることが予測される。また、日本企業が中国現地の子会社に従業員又は管理者を派遣する際に、新制度も適用されるため、上記採点基準表に基づく点数が60点未満の場合、就労許可を取得できない可能性が高くなると思われる。この場合、派遣元である親会社は、派遣労働者を上記の点数に満たせるために、工夫しなければならない。例えば、派遣労働者に中国語検定試験(HSK)に参加させること、派遣労働者の中国現地会社における給料を増加すること、若い人材を派遣する等方法が考えられる。

3 手続の簡素化
 従来、就労者は、就労許可を申請する際に、中国語及び外国語の履歴書、雇用意向書等書類を提出する必要があったが、今回の制度改正により、上記書類の提出が求められなくなった。また、今回の改正により、「外国人就業許可証」のオンライン申請ができるようになり、同許可証も電子化されたため、申請手続の簡素化が期待できると思われる。
以 上