ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人Bridge Roots ブリッジルーツ
上海事務所 顧問 古島忠久

【第84回】「子供と老人向けサポート」

※本記事は亜州ビジネス2015年11月に掲載されたものです。


 中国人の知人と食事をしたとき、その知人が長年続いた一人っ子政策が終わるので、自分も二人目をどうしようか、考えてはいるが、中国で子供を育てるのは凄くお金が掛かるので、悩むところだ。と言われておりました。私が知る限りでもそうだろうな、と感じるところが多々あり、今まで長く一人っ子が続いたので子供に対して惜しみなくお金を掛ける習慣ができているのでは、と感じております。

 私の住んでいる近くには子供専用(幼稚園くらいまで)の写真館が2ヵ所あり、週末は写真館の外まで人があふれており、その集まる人達をターゲットにしたのか?珈琲店や小さな飲食店が後から開店し、それなりに繁盛しているように見えます。また習い事も多いようで、学習の習い事は勿論、それ以外にもスポーツ関係や音楽等を掛け持ちで習っている子供が多いようで、子供達も忙しいそうです。そして最終的に成人して結婚する際は住宅を購入(基本的に男性負担)しなければならず、かなりの金銭的負担が掛かります。

 これだけの対応ができるのは、両親以外に双方の祖父母までが子供の面倒を見ることが中国では一般的だからでしょう。考えてみると今の両親は一人っ子世代でその一人っ子同士の子供なので今の子供は6個のポケットを持っている、と過去に聞いたことがあるので、上手くいっているのでしょうか(本当のところは良く分かりませんが…)。

 それほど金銭的負担が大きいので、二人目と簡単に考えることは難しいのでしょう。そこで、私は少々気になったのですが、今の両親世代の人達は自分達の子供以外にも、これから訪れる自分達の両親(子供から見れば祖父母)の老後のサポートはどうなるのだろう…。このことを知人に聞いてみると、そうなのだ!双方一人っ子の場合、二人で双方の親の老後をサポートすることになる、これから問題になるだろう…としみじみ言っておりました。

 そういえば、近年は老人介護の議論をテレビ等で見たり、墓地の値段が高くなっているなど聞いたりします。私も過去に中国企業から日本の老人介護事業について相談を受け、日本の老人ホームを数カ所、その中国企業の方達と回ったことがあり、きめ細かいサービスや施設の設備等に感心しておられましたので、中国でこの分野は今後ますます大きくなるのだろうな、とは感じておりました。そう考えると今後は子供と老人に対する業務がますます増えるのではないか、そして今よりより良いサービスを求められるのではないか、とその知人に言いましたところ、子供の件については同意しましたが、老人介護(自分達の両親)については言葉を濁しておりました。その理由を聞くと、「自分の子供にはお金を掛けるが、親にはあまり掛けない。」とのことでした。只、「親も自分達の老後の為に幾らか貯めているだろうから、自分達で何とかするだろう。」と言われておりました。まあこの意見が全ての人達の考えではないでしょうが、子供に関する事と老人に関する事の業務は増えていくだろうな、だからいろいろな企業も何か協力できることがあるのではないか、と感じております。
以上