ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人Bridge Roots ブリッジルーツ
上海事務所 顧問 古島忠久

【第52回】「取引先(協力先)との関係について検討する」

 中国国内で活動をされている企業、又は日本国内への販売目的の為、商品の製造を中国国内の他社に委託している企業も多いでしょう。ある日系企業は10年程前から中国のローカル企業に自社で販売する商品の製造を委託しておりました。その企業は当初は日本国内から中国国内の企業に発注しておりましたが、中国関連のそういった仕事をされている方達はご存知でしょうが、出来上がった商品はとても日本国内での販売に使えないような商品ばかりだったそうです。

 最初は違う委託先もいろいろ探したそうですが、どこも似たような感じで如何しようか、と考えていたところ、その内の1社がすごく積極的で「日本企業の商品を製造することは自社の宣伝にもなるので、是非ともやらせて欲しい。」と言ってきたそうで、そこまで言ってくれるなら、とその中国企業1社に、日本から技術者を毎月交代で出張派遣し、商品加工の基礎から指導し、1年程かけてようやく納得のいく商品が日本へ送られてくるようになったとのことでした。

 その時は中国企業の老板(オーナー)もすごくうれしそうで、他の仕事も欲しい、と要求してきました。そこで違う商品も発注したところ、また1年前のように日本国内での販売に使えないような商品が送られてきました。そのことを日本から中国企業の老板に電話で伝えると、前回のように日本から技術者を派遣して欲しい、と要望がありました。仕方がないな、と感じてまた日本から技術者を毎月出張で派遣したところ、今度は半年ほどで納得のいく商品が日本へ送られてくるようになったそうです。日本側企業も要領を掴んでくれたと感じ、その後も何種類か別商品の発注を掛け、その都度、日本から技術者を派遣して指導していたので、その後数年はあまり大きな問題は無かったとのことです。

 ようやくこれから楽ができるな、と感じていたところ、なんと中国企業から商品単価の値上げを求められました。相手の話をよく聞いていると、最近は技術が向上してきたので、他にも外国企業から商品委託の依頼が来るそうで、しかも単価は日本企業より高く、更に日本企業ほど不良品に対する考えが厳しくないので、そっちをメインでやりたい、とのこと。只、今までの関係もあるので貴社の商品をやってもいいが、今の単価ではできない、値上げする。と言ってきたそうです。その値上げ幅も納得できるレベルではなく、大幅な値上げだったので、日本側企業からすれば、中国企業の今の技術レベルは我々が指導してきたからであって、技術レベルが上がると他の条件の良い企業があるので、今の条件ではできない。とはチョット酷いのではないか、と伝えましたが、聞き入れて貰えなかったようです。

 その日本側企業は結局のところ、直ぐに商品製造を打ち切られても困るので、しぶしぶ値上げを認めたようですが、当然利益率が悪くなるので、このままではいけないと考え、現在は他の企業にも一部発注を出し、また技術指導からしているそうです。今回は1社ではなく、数社に発注を掛けているとのことでした。

 このようなことが起こることも考えられますので、簡単ではありませんが、当初から契約条件等に縛り等を入れておくのも一つの方法ではないでしょうか。
以上