ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人Bridge Roots ブリッジルーツ
上海事務所 顧問 古島忠久

【第44回】「集金について『なるほど~』と感じるとき」

※本記事は亜州ビジネス2014年7月14日第917号に掲載されたものです。

 中国関連の商売をやられている方達は多かれ少なかれ集金業務でご苦労をされていることと感じています。弊上海事務所にもそのような相談は時々あります。まあこの問題は避けては通れないのでしょう。少し話がそれるかもしれませんが、私が『なるほど~』と感じたことをお話しします。

 私は約11年間中国に滞在しており、その間に何度か中国系の医院に行ったことがあります。中国の医院の流れは一番先に精算所にて診察費用(専門医と一般医を選ぶ、当然専門医は高額になる)を払うことから始まります。診察費用を支払うと受付番号が貰えます。自分の番号が来ると診察室に入り、診察後、薬等の処方箋を貰います。次にその処方箋を持ってまた精算所に行き、薬等の費用を支払うと、前回と同じように今度は薬を受取るための受付番号が貰えます。その番号を持って薬の受取り場で自分の番号が来れば貰えるという流れになっています。全てが先払いなので確かに未集金はないだろうな、と感じましたが、2回も精算所にて並ぶ(人が結構多い)ので手間が掛かります。

 また時々、急患の人が運ばれてくるのですが、同行して来た人が急患の専用受付でここでもやはり精算業務を先にしている感じで、その横で患者が苦しそうに担架に横たわっています。なんとかならないのかな、と感じていましたが、その後に私も夜間の急患に一度行くことになりました。その時は裂傷を負い血がポタポタとたれ、止まる気配がなかったので、初めて夜間急患に行くことになり、その地域の中心的な病院に行きました。大体の流れは先に述べたように知っておりましたので、先ず申請書を記入し精算所にて支払いを済ませ、指示された診察室に行くと、そこは5人程並んでおりました。急患対応の医者は一人しかいないようで、テキパキ?と業務をこなしている感じでした。私もポタポタと血を床に垂らしながら列に並びその状況を見ておりましたところ、どうも医者の専門は外科のようで列の前の人は内科の患者のようで、医者は大丈夫だ、心配だったら(当日は金曜日の夜)週明けの月曜日に来て、内科の専門医に見て貰え、みたいな感じでした。また別の人は足が少し曲がっているようで、しきりに痛い、と言っておりましたが医者はチョット待て、と言って順番通り対応しておりました。凄いな~と感じながら並んでおりましたが、ようやく私の番が来て、傷口を見て消毒して何も言わず5針縫いました。処方箋を貰い、注射を打つから隣の部屋に行けと言われ、隣の部屋に行きましたところ、看護師が薬は?と言い、先に薬を買って来い、とのことでした。指示通り精算所に行き、処方箋を見せて支払いを済ませ、それでようやく薬を受け取ることができ、看護師が居る部屋に戻ると、私が持参した薬の中から注射に使う薬を取り出し、その薬を注射器に入れて注射しました。私はこの一連の流れを体験し、『なるほど~』この方法なら未集金はないな!と深く感じました。

 先の例は極端かもしれませんが、どちらが立場上強いか?も関係するでしょうが、どうすれば未集金を防げるか?は中国の人が一番よく知っているのではないでしょうか。

以上