ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人BridgeRootsブリッジルーツ
李 武哲(弁護士)
執筆協力:金 佑樹(弁護士)

【第42回】韓国における付加価値税

※本記事は亜州ビジネス2014年4月21日第860号に掲載されたものです。

1.はじめに
 2014年4月1日より日本における消費税率が5%から8%となりました。消費税は国民の生活に直接関わるものであるため、増税までに激しい議論がされたところです。消費税率は、今後も2015年10月に10%とされることが予定されています。
 日本の消費税に相当する付加価値税VAT (Value Added Tax)は諸外国でも見られるところですが、その内容は国により大きく異なります。イギリスにおける付加価値税の標準税率は20%とされており、日本の税率を大幅に超える水準に設定されています。しかし、食料品や医薬品等についてはゼロ税率、電力等についても5%の軽減税率が適用されることとされており、国民の生活に配慮した設計とされているのです。
 今回は、お隣の国韓国における付加価値税についてご紹介したいと思います。

2.韓国の付加価値税の概要
 韓国において日本の消費税に相当する付加価値税が導入されたのは1977年のことで、日本より10年以上も前に導入されています。税率に関する激しい議論の結果、税率は10%とされ、現在に至るまで10%の税率が維持されています。
 韓国の付加価値税は、売上高に税率を乗じた売上税額から仕入高に税率を乗じた仕入税額を控除する方法で算定されます。その際、仕入高と仕入税額については個々の取引の際に交付される税金計算書により確認されることとされているため、税金計算書が単なる領収書を超えて課税資料として重要な機能を果たしています。税金計算書には、事業者の登録番号、価額、付加価値税額等が記載されることになっています。
 日本の消費税との違いで言えば、韓国の付加価値税は申告の時期も異なります。1月から6月までと7月から12月までの課税期間について、それぞれ予定申告、確定申告が必要とされています。

3.免税区分と還付手続
 韓国の付加価値税法でも、多くの諸外国の場合と同様、一部の物品については免税とされることが規定されています。未加工の食料品、医療サービス等は、国民の基礎生活に関わるものとして付加価値税が免税されています。韓国の国民食ともいえるキムチも未加工食品として付加価値税の免税対象とされています。日本の消費税は物品の種類を問わず一律に課税されることとされていますので、この点は大きな違いです。
 そのほかにも、外国人旅行者等が指定された販売店で一定額以上の購入した場合、購入時に支払った付加価値税の払い戻しを受けることができる事後免税の制度も設けられています。購入者は出国の際に空港で手続きを行うことで付加価値税の還付を受けることができます。また、昨今の日韓関係の冷え込みや円安等の影響により減少した日本人旅行者を呼び込む政策の一環として、2014年4月から外国人を対象とした宿泊費の還付制度が開始されました。外国人が対象ホテルで合計2泊以上30泊以下の期間宿泊した場合、宿泊費にかかる付加価値税の還付を受けることができるとするものです。

4.おわりに
 以上のように、韓国では日本に先行する形で付加価値税が導入され、現在に至るまで10%の税率が維持されてきました。しかしながら、韓国も日本と同様に高齢化が進むことが予想されるため、将来的には付加価値税の増税が避けられないのではないかとも言われています。税制度はその国のあり方に大きくかかわるものであるため、今後日韓両国の消費税がどのような変容をたどるのか、行方に注目したいと思います。
以 上