ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人Bridge Rootsブリッジルーツ
代表弁護士 橋 本 吉 文

【第41回】破産清算による撤退方法

※本記事は亜州ビジネス2014年4月7日第850号に掲載されたものです。

 前回までで、①事業の終了を前提として解散・清算する方法による撤退方法、②事業の継続を前提として出資持分を合弁相手もしくは第三者へ売却する撤退方法について説明したが、今回は破産清算について解説する。

1.手続きの流れ
  1.  ①債務者が期限の到来した債務を弁済できず、且つ②資産がすべての債務の弁済に不足し、又は明らかに弁済能力が欠如している場合、債務者は人民法院に破産を申し立てることができる(なお、債権者が破産を申し立てる場合は①の要件のみでOK)。
  2.  人民法院が破産申立を受理すると、破産管財人が指定され、債権者に破産申立受理が通知され、且つ公告される。
  3.  その後、破産管財人が債務者の財産状況や債権者の債権届出等を調査・審査し、人民法院が破産宣告をするか否か決定する。
  4.  人民法院が破産宣告をした場合、破産管財人が作成する破産財団換価案、破産財団配当案について、債権者集会の決議を経る(人民法院が破産宣告をしない場合には、破産手続きの終結を裁定し、且つその旨公告される)。
  5.  上記破産財団配当案については、人民法院の認可を経た後、破産管財人が当該配当案に従い配当を執行する。
  6.  破産財団の最終配当が完結すると、人民法院により破産手続終結の公告がされ、それにより破産手続が完了する。その後、破産管財人が企業の抹消登記手続きを行うことになる。  
  
2.注意点
 日本企業が破産において特に注意しなければならないことは、「企業の董事、監事又は高級管理職が忠実義務、勤勉義務に違反し、就任した企業を破産に至らせた場合は、法に従い民事責任を負うものとする。」「前項に定める事由のある者は、破産手続完了の日より3年間、いかなる企業の董事、監事、高級管理職にも就いてはならない。」(中国破産法第125条)と規定されている点である。
 日本の中小企業の場合は、本社社長が中国子会社のトップである董事長を兼務しているケースが多く存在する。また、大企業においても、中国子会社の経営陣(総経理、副総経理、監事など)について、日本の本社社員を派遣しているケースが多い。
 中国子会社が破産となった場合、董事長となっている本社社長が民事責任を追及され、人民法院へ召喚される事態となっては大変である。この点、出入国管理法には、人民法院が、未解決の民事事件があって出国できないと決定した者は、出国できないとの規定があり(同法28条)、過去には現地子会社の責任者が実際にパスポートを取り上げられて出国できないケースもあった。

 破産には、このようなリスクが存在することを十分に認識し、本社社長は安易に中国子会社の董事長などに就任しないよう気をつける必要があるだろう。
以  上