ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

弁護士法人Bridge Roots ブリッジルーツ
上海事務所 顧問 古島忠久

【第28回】「販路を考える」

※本記事は亜州ビジネス2013年8月26日第702号に掲載されたものです。

 中国に進出した日本企業で、中国内での取引先を探すのに大変苦労されている総経理達の話しを時々聞きます。特に中国国内企業との関係構築はなかなか上手くいかず、一度や二度の失敗をしたり、苦い思いをした方も多いと思います。中国国内企業は独特の商売文化で、なかなか日系企業が入り込むのは難しいでしょう。そこで比較的よくあるやり方は販路を持った中国企業との合弁会社設立や業務提携、又は代理商に卸す方法です。勿論、日系100%の企業が自社で販路開拓をしているところも多々ありますが、今回は中国企業と協力しての販路開拓についてお話します。

 ここで先ず大事なことは、そもそも売りたい商品は「付加価値があるか?」「何が優れているのか?」がハッキリしていないとダメです。他の日系企業、又は中国国内企業で類似商品があれば当然競争になりますので、付加価値がある、或いはコスト的に優れている(コストで中国ローカル企業に勝つのは難しいでしょうが…)、等がないと中国企業はあまり真剣に対応、協力してくれないでしょう。以前に日系企業の代理商をしている中国人老板(オーナー)から聞いた話ですが、「我々も奉仕活動しているのではないので、売れない商品を扱いたくない。」又、「利益的に良い商品を重点的に売り込む。」と言っておりました。まあ当然と言えば当然でしょうね。その人達も商売でやっているわけなので、儲からない商品に時間を割くのは無駄だと感じているのでしょう。中国人はこの辺は日本人よりシビアだと感じます。

 そこでどうするか?ですが売りたい商品に素晴らしい付加価値があれば良いのですが、そのような商品は数少ないと思います。

 話しが少し逸れますが、ある日系100%の企業の話なのですが、世界で自社しかないという技術の商品を、代理商等を通さず直接自社で卸業者や小売店に販売しており、更にその商品の未回収金もゼロとのことでしたので具体的に聞きますと、「我が社しかない商品なのである程度の宣伝をすれば相手から問い合わせて来る、そして販売する際も100%前金でないと売らない。」と言っておりました。この中国で素晴らしい販売方法だと感心しました(債権回収で悩んでいる企業が多いのに…)が、そのような企業は少数だと思います。

 話しを元に戻しますが、商品価値が良く似たような商品であれば必然的に販路を担当する協力会社の方針に左右されるでしょう。力を入れて販路拡大をして貰うにはある程度の営業活動費を出す方が積極的になってくれる可能性が高くなります。ただこの営業活動費が曖昧?な位置づけになるとコンプライアンス上、問題になるかもしれません。このことで頭を悩ます現地管理職の人達も多いでしょう。先の中国人老板も「要は協力金(営業活動費?)は幾らくれるのか?が大事」だと強調しておりました。そのような商売文化がある中で、弊所(上海事務所)にもたまに「中国での販路を開拓、拡大してくれる中国企業を紹介して欲しい。」と問合せがあり、一応その分野の関係者にあたりますが、大体返ってくる回答は先に記載した内容が多いです。問合せして来た方に正直に伝えますと意気消沈しているのを感じます。しかし中国市場は魅力的で簡単には諦めきれないと思いますので、販売活動をやるには先ず、自社内(商品も含む)を見つめ直してみてはいかがでしょうか。又、私の知るところでは食料品、日用品に限り、自社の店舗(スーパー等)で試し販売を有料で行っているところもあります。そのようなところを活用してみるのも一つの手だと思います。今までの考え方が変わるかもしれません。

 孫子の兵法にある有名な言葉ですが「敵を知り、己を知れば百戦して危うからず。」ではないでしょうか。
以上