ブリッジルーツの日本・中国・韓国見聞録

【第4回】上海のサービス業
 

弁護士法人BridgeRootsブリッジルーツ

上海事務所顧問  古 島  忠 久

 

※本記事は亜州ビジネス2012813日第451号に掲載されたものです。

 

1.はじめに

皆様はじめまして、Bridge Roots 上海事務所顧問の古島忠久です。さて、小生、2003年から上海で仕事を始めました。前年くらいから第3次中国進出ブームと言われていましたが、ちょうど中国でSARS騒動が収まりつつある時期でした。SARSの影響もあり日中間のビジネスは少し中休みという状況でした。その時の中国上海便の飛行機では、小生の周囲の座席は前後左右3列誰もいない、といった状況で、ドリンクを2口ほど飲むと「オカワリいかがですか?」とドリンクサービスが戻って来てビックリしたのを覚えています。その後の中国、特に上海への投資熱は皆様もご存じのとおり凄まじいもので、現在の上海便はどの便もほぼ満席で、上海の発展を肌で感じております。

 

2.環境が変われば習慣が変わる?

さて、56年前に上海市内で日本料理を数店舗経営している上海人老板(オーナー)の講演を聞かせて頂いた際に印象に残った言葉があります。その言葉は従業員教育についての話しの中で出てきた「環境が変われば習慣が変わる」という言葉です。店として顧客が求めるサービスを提供しやすいように環境(店舗や従業員寮)を整えてあげれば、「従業員はその環境に慣れて進歩する」と言っておられました。その言葉の意味を小生も少し違う観点から感じる部分がありました。前述したとおり、小生は2003年に上海に来ましたが、そのときはコーヒーを飲む中国人の数は大変少なかったです。余談ですが、小生が初めて上海でアイスコーヒーを注文した時に出てきたものは、ホットコーヒーに氷を入れただけのもので、氷が今にも融けてなくなりそうな感じでした。当然、生温くて美味しくなかったです。それが2005年くらいからですかね、世界的に有名なコーヒーチェーンが上海に進出してくると、すごい勢いでコーヒーを飲む中国の人が増えていきました。またコーヒーを飲む人が多くなったので、他のいろいろなコーヒーチェーンや個人店が増えました。今ではそれなりの味のコーヒー店舗は人でいっぱいです。また、カレーについても同じような状況があります。カレー店は当初からありましたが、あまり繁盛している感じではなく、味も日本人が子供の頃から食べてきた味ではなかったです。ある時、日系のカレーチェーンがオープンしていると聞き、食べに行きました。食べてみるとこれまで小生が食べてきた味だな、と感じたので頻繁に食べに行きました。現在ではカレー店舗もたくさん増え、どの店舗もいつも満員の印象があります。

 縁あってカレーのルーを生産している企業の総経理と話しをする機会があり、上記のことを言いますと、工場を中国の小学生の遠足コースにしており、最後に皆にカレーライスを食べて帰ってもらう、と聞きました。そのような努力もあり、上海にカレー文化が浸透したのではないでしょうか。また、同じような取り組みをしている飲料メーカーもあります。また、飲食ではなく娯楽産業(?)でしょうか、温泉についてです。小職が当初住んでいた地域に上海料理で有名な企業の入浴施設(日本のスーパー銭湯のような)がオープンしました。近くだということもあり、週2回くらいは通いましたが、何時もガラガラで小生の他に数名いるだけ、という状況が半年位続いておりました。潰れるのでは?と正直心配しましたが、その頃から中国の人達に受け入れられたのか?急激に人が増えていきました。今では休日などに行くと人が多くて驚いております。その流れなのか、近く日系の温泉施設の企業が上海に入浴施設をオープンさせる、と聞いております。

上記の事例に鑑みますと、「環境が変われば習慣が変わる」というのは本当だな、と感じています。

 

3.最後に

これから進出されたい企業、特にサービス業は、「まだ時期早々だ」と考えるより、自社のサービスが「中国の人の習慣を変える」くらいの気持ちでやらないと、特色のない企業で終わるのではないか、と感じています。上海に来られる人達は肌で感じておられるでしょうが、上海のサービス業は本当に凄まじい競争なのです。

以 上